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甲状腺の病気(慢性甲状腺炎、バセドウ病など)

甲状腺とは、首の喉仏(のどぼとけ)の少し下あたりにあるホルモン産生を行う内分泌臓器で、甲状腺ホルモンを産生し、血液中に分泌します。甲状腺ホルモンは身体の隅々にいきわたり、特に「熱産生」や「生体の代謝」に関連するホルモンです。甲状腺ホルモンが異常に多くなると暑がり・汗かき・体重減少・動悸(心臓が高鳴る)などの症状が出てきます。反対に甲状腺ホルモンが減少すると、寒がり・皮膚の乾燥・体重増加などがみられます。

慢性甲状腺炎

血液中の甲状腺ホルモンが少なくなる病気が甲状腺機能低下症です。甲状腺機能低下症の代表的な疾患が橋本病(慢性甲状腺炎)です。橋本病(慢性甲状腺炎)は非常に頻度の高い病気で、成人女性の10人に1人、成人男性の40人に1人にみられます。しかし、橋本病の全員の甲状腺ホルモンが少なくなるわけではなく、橋本病のうち甲状腺機能低下になるのは4~5人に1人未満です。大部分の人では甲状腺ホルモンは正常に保たれています。女性に多く、男女比は1:20~30くらいです。特に30~40代の女性に発症することが多く、幼児や学童はまれです。甲状腺機能が正常の橋本病では、原則的に治療は必要ありません。機能低下がある場合は足りなくなった甲状腺ホルモンの補充です。最初は少量ずつ補充していき、血液中の甲状腺ホルモンを測定しながら、至適量を決定します。

バセドウ病

バセドウ病は自己免疫疾患のひとつで、甲状腺ホルモンを過剰に産生する病気(甲状腺機能亢進症)の代表的な疾患です。人口1000人あたり0.2~3.2人と報告されています。20~30代の若い女性に多い病気です。男女比は1:3~5くらいと言われています。甲状腺にあるTSH受容体に対する抗体(TSH受容体抗体)ができてしまい、甲状腺を始終刺激することで甲状腺ホルモンが過剰に作られてしまいます。治療には大きく分けて、薬物(抗甲状腺薬)治療、放射性ヨウ素内用療法、手術の3つの治療法があります。

甲状腺腫瘍(良性・悪性)

甲状腺にできる腫瘍には、良性と悪性があります。良性腫瘍には、濾胞腺腫と、腺腫様甲状腺腫や嚢胞などが含まれます。悪性腫瘍(甲状腺癌)は、乳頭癌、濾胞癌、髄様癌、低分化癌、未分化癌、その他(悪性リンパ腫など)に大別され、乳頭癌と濾胞癌をあわせて甲状腺分化癌とよびます。2004年の統計によると、乳頭癌が全体の92.5%と最も多く、次いで濾胞癌4.8%、髄様癌1.3%、未分化癌1.4%となっています。

甲状腺に腫瘍がみつかった場合、まずは超音波検査を行い、悪性が疑われれば、精密検査として穿刺吸引細胞診を行って良悪性の鑑別を行います。ただし手術を行わないと、良性と悪性の区別がつかない場合もあります。特に、濾胞腺腫と濾胞癌とは穿刺吸引細胞診では区別ができず、常に鑑別が問題になります。

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